「ジェミニクラブ」とは…多胎児(双子や三つ子)を妊娠中、又は、育てている親の会です。年、数回の会報と月一回程度の集会(主に子安市民センターにて)が主な活動です。
二年程前、双子の男の子(当時三歳半)を持つ中澤園子さんが、多胎児の子育てについての情報が欲しい…が近くに会が無い。それでは作ってしまおう!と、同じく双子・三つ子を持つお母さんたちと共に立ち上げたサークルです。今回、代表の中澤さんにお話をうかがうことができました。
一人の子供を産み、育てるのでさえも、授乳、オムツ換え、夜泣きなど大変なものですよね。赤ちゃんは泣くのが仕事といいますが、多胎児の場合は一度に泣かれても、別々に泣かれても世話をするのは肉体的・精神的にものすごく疲労がたまってくるものなのです。
そこで、世のお母さん方は、同じ子育て中のお母さんとの会話の中から、いろんな情報を得たり、悩みをきいてもらったりする場を求めて、親子で公園へ出かけたりするのですが、双子や三つ子の場合は、公園へ連れて行っても、それぞれに動き回るわが子を見守るのが精一杯で、他のお母さん達と話す暇もありません。母親として欲しい情報や、ホッと一息つけるような会話ができず、また、運良く話せたとしても「双子は年子より楽よね。」「どっちがおにいちゃん?」「不妊治療したの?」など、興味本位の話題になる事も多く、かえって心の疲労を増やして帰宅する場合が多いのです。
それでは、いったいどこに情報を求めれば良いのか?ということで、多胎児をもつお母さんたちは、月一度の集会が数少ない情報交換の場となるのです。
中澤さんは、「他の幼児サークルは、親子一対一での工作、手遊びなどの作業を行うところが圧倒的だが、ジェミニクラブ=お母さんの息抜きクラブ。あえてお母さんの負担になるようなことはしない。多胎児の育児をしている人なら、ほとんどの人が持つ精神的疲労を少しでも和らげる手助けができたら…」と語ります。今までの会報を読ませていただいても結成して二年、まさに暗中模索しながら歩んできたことがうかがわれます。
また「保育園に入れようとしても別々の保育園になってしまうこともある。一昨年、多胎児支援の名の下に、年一回たった三時間のベビーシッター助成制度ができたが、親は必ず外出しなければならない。いきなり見ず知らずの人が家に来ても、子供は泣き通しかもしれない。親は心配でリフレッシュどころではありません。リフレッシュの意味を履き違えている。それよりも通院などの外出時の付き添いを助成するとか、行政の支援を広げて欲しい。」と語ります。まったくそのとおりです。
お話を伺っていて頼もしく思えたのは、結成当時から、杏林大学看護学科の教員、学生さん達が保育ボランティアに参加されていることです。その学生さんの中から多胎児の育児への理解をもつ保健婦さんが育成されることを私も期待したいと思います。
最後に「広く世の中に多胎児の育児について理解してほしい。将来的には多くのボランティアを巻き込んで胎児育児をがんばるお母さんの肉体的疲労も和らげられる会にできたら…」と語る中澤さんの目が輝いていました。「二十、三十年後、『あの頃は大変だったよね。』とOBで飲み会をするのが夢」と会報の中で語っていらっしゃいましたが、必ずや実現するに違いない!と力強さを感じました。 |